愛の物語-33-

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 誠二の部屋は三畳の広さです。日曜日のお昼を京子と一緒に食べたあとのことです。誠二には予期せぬことが起こってきたのです。一つ年上の京子が、誠二の性器を弄ってきたのです。ホームコタツに足を入れ、温かくなった下半身です。コタツには薄い布団がかかっています。京子はその布団をめくりあげ、ズボンとパンツを太腿にまで下ろさせた誠二のモノを握ってしまったのです。
「ああっ、ううっ、京子、ああっ」
誠二は、こんなこと、初めてのことです。勃起してしまったモノを、女子に握られるなんて、それも京子に握られてしまうとは、思いもよりませんでした。京子は、無言で、左手で誠二のモノを根元から軽く握ってきて、右手で誠二の左手首を持ったのです。
「ううん、誠二くん、いいよね、ふぅううん」
甘えるような小声で、京子はつぶやき、誠二の左手を、ピンク色のふわふわセーターの胸に当てさせたのです。スラックスを穿いた京子は、誠二の右横に足を崩して座っています。
「ああっ、どうするん、京子、おれ、だめだよ」
面食らっている誠二に、京子は諭すように無言で、セーターのうえから胸を触らせるのです。そうして、京子は空いている右手でセーターを、裾からめくりあげ、スリップとブラジャーの中へ、誠二の左手を導きいれます。
「ねぇ、誠二くん、背中のホック、外して、おねがい」
京子は前のめりになり、誠二にブラジャーのホックを外してほしいというのです。誠二には要領がわからないから、戸惑ます。誠二は前のめりになった京子の腹のところからスリップの内側に手をいれ、背中へまわして、ブラのホックを外します。京子の顔が、誠二の胸元にきます。誠二の左手を胸に入れられた京子が、誠二へ寄ってきます。左手には誠二の勃起したモノを握ったままで、右手で誠二の肩を抱いてきます。誠二の左手を胸に当てさせたまま、京子が上半身を揺するのです。
「はぁああっ、誠二くん、いいこと、おっぱい、揉んでほしい」
京子の声は羞恥に満ちていています。女子のことには未熟な誠二には、まもなく19歳になる女子の、気持ちがわからないのです。誠二は、女子の乳房をさわるのは、初めてです。想像はするけれど、誠二に女子との交渉経験はありません。京子の乳房は、柔らかくて温かい感触です。
「ああっ、ううっ、うっ、うっ、ああっ」
思い余って、勃起するモノを握られている誠二が、もよおしてきて、射精してしまったのです。そういえば、京子が、微妙に、握った誠二のモノをしごいていたのです。京子は、あっけなく、誠二が射精してしまったのを、手を皿にして受けとめ、そばにあったタオルで拭いたのでした。

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愛の物語-32-

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 京子が作った牛丼を食べ終わると、京子がお茶を入れてくれます。お茶とはいっても上等ではないけれど、緑茶です。茶葉を急須にいれ、電熱器で沸かした薬缶のお湯を、注いでしばらく待ちます。
「うん、誠二くんのよこに、入れて」
ホームコタツで、誠二の横に並ぶというのです。レコードのジャケットを、一緒に見るためです。ポータブルラジオからショパンのピアノ曲が流れていて、LPジャケットに載っている解説とか、曲目とか、演奏者のピアニストのこととか、輸入盤なのに、日本語で書かれてあるのです。急須を持った京子が、湯飲み茶わんに注ぎます。
「お茶、入ったよ、飲みましょ」
「うん、飲もう、丼食って、喉、乾いたわ」
京子が横にきて、お茶を入れてくれて、誠二は茶碗を手に持って、唇に運んで、ずるずるっと啜ります。京子は、自分の分を茶碗に入れて、そのまま手をつけません。急須をコタツのうえに置き、レコードのジャケットを茶碗の向こうに置いてしまいます。
「ねぇ、誠二くん、わたし、ねぇ、いいこと、してあげる」
小さな声で、京子が誠二に聞こえるか聞こえないかわからないほどに小声で、疼くように言いながら、左側にいる誠二の太腿へ、京子が左の手を置いてくるのです。誠二は、それでなくても、真近にいる京子の匂いを感じて、うずうずしてきているところでした。
「ううん、ああ、京子、なにするん」
三畳の間、ホームコタツで、窓に向かって並んで座った誠二と京子です。布団は三つ折りにして積んであり、昼間はホームコタツにしてある誠二の部屋です。ホームコタツの布団が被っているから、京子の手は、誠二には見えません。でもうずうず、ズボンの上からだけど、手を当ててきて、ズボンのジッパーを降ろしだした京子なのです。誠二は、むしろなされるがまま、京子の顔をちらっと見ると、京子は、放心したような表情で、ほわっと美しく見えます。
「じっとしていてね、誠二くん、いいことしてあげるんだから、ね」
誠二は、京子がジッパーを降ろしたズボンの中へ、左手を入れてきて、パンツの中へ侵入させ、男のモノを握ってきたのです。男のモノは硬くなっていて、誠二は、ぐっとこらえる気持ちで、京子にされるがままになります。ラジオからかすれたピアノの音が流れています。誠二はもう上の空で、ピアノの音なんて耳に入りません。
「ああっ、ああっ」
京子が、パンツの真ん中から、硬くなった男のモノを、抜きだしてしまって、起こしてしまったのです。ホームコタツの布団をめくってしまう京子。足をひし形にした誠二の真ん中から、ナマ肌色の男のモノがにょきっと起ってしまって、京子が手を離したのです。
「ねぇ、誠二くん、バンド、はずしあげる、ええっ?、恥ずかしい?」
「ううん、ちゃう、恥ずかしくなんてないけど、ううっ」
ズボンとパンツを、いっしょに太腿の根元にまで、下ろされてしまう誠二。ピンピンの男のモノが剥き出しになって起っているのを、京子が握ってしまうのです。

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愛の物語-31-

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 誠二は18歳の誕生日を迎えて、見習いで勤めだしたモータースの好意で、普通運転免許を取るために教習所へ通わせてもらえるようになりました。教習所の費用は、モータースの社長から出してもらえることになりました。そのかわりの条件として、三年間は自分の整備工場で働いてほしい、とうことです。誠二は、それほど深く考えることもなく、その条件に了解して、免許取りの便宜をはかってもらえることになったのです。平日の昼間に二時間を免許証を取るための自動車学校へ通います。単車の免許は16歳になったところでもらったから、誠二には自動車免許へのバージョンアップです。
「そうなんよ、免許取りに、四条の教習所へいくんだ」
「そうなの、よかったわね、仕事にも使えるのよ、ねぇ」
誠二の報告に、京子は笑顔で応えてきます。京子は、誕生月が四月なので、高校生になるとすぐに19歳になりますが、誠二が18歳で三年生になりますから、先輩です。梅の季節が終わって、桜の季節になるころ、四月になるところです。日曜日の午前に京子が春秋荘にやってきて、お昼ご飯をつくって一緒に食べます。簡単な調理しかできないタオルをひろげたほどの狭いキッチンですが、京子はうれしくてたまらないといった風に振る舞うのです。スラックス姿、上はブラウスにピンクのカーディガンを羽織った京子です。
「フライパンでお肉を、お醤油とお砂糖とお水で炊いて、卵をまぶして、お肉丼よ」
京子が料理をしている間、誠二は京子の横に立って、じっと料理される様子を見ます。じゅじゅじゅじゅっとフライパンのなかで細切れの肉が焼けてきて、お砂糖をいれ、お水を少しいれ、そのうえからお醤油をいれる京子の手先を、誠二はじっと見ています。
「いい匂いしてくる、美味しそう、おれ、肉、好きやねん」
155㎝の京子に、誠二は165㎝だから、少し誠二の方が背が高くて、手元を見下ろすかっこうです。京子の華奢でほの白い手の指先を、誠二が見守ります。手際よくフライパンを動かしながら、調理していく京子を、誠二は、食べてしまいたいほどの衝動に駆られます。
「もうご飯炊けるでしょ、そしたら、卵かけ牛丼にするのよ、美味しいよ、きっと」
「腹減ってきたよ、京子がつくるご飯だから、美味しいやろなぁ」
「誠二くん、自動車の整備士さんより、お料理の調理師さんになったら、いいのに」
手際よくフライパンをあやつりながら、京子は、誠二にアドバイスです。誠二は、成り行き任せで自動車整備の道へはいってきたけれど、料理の調理師になるなんて思いもよらないことでした。卵かけ牛丼が出来上がって、ホームコタツのテーブルに丼をおいて、食べ始めます。
「美味しい、おれ、好きやわぁ、京子、料理、うまいんやから」
ぱくぱく、誠二は、まるで餓鬼のように、丼鉢に入った牛丼を、食べるのです。

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愛の物語-30-

-30-
 誠二は、京子のことを女子として意識しだします。恋心が芽生えてきて、淡く化粧する京子の匂いを、そよ風のなかに感じるのです。寒い朝から、温かい風を感じるようになった日曜日、お昼前には京子が春秋荘へやってきます。モータースの仕事は休みだし、京子がアルバイトするようになったすえひろも定休日です。
「うん、ねぇ、誠二くん、お昼、おうどん、たべるでしょ」
電熱器に春秋荘で生活するぅようになって、二人用の土鍋を買った誠二と京子です。おうどん二玉、土鍋に入れた水にダシの素を入れ、煮込みながら、生卵をふたつ割って入れ、海老の天ぷらをふたつ入れるのです。なべ焼きうどんが出来上がり、ホームコタツのうえに置き、それぞれにお茶碗に取って食べだします。
「ねぇ、ねぇ、誠二くん、わたし、ねぇ、好きなのよ、おうどん」
「うん、うん、京子がつくるのん、美味しいわ、ほんとだよ」
「ありがとう、作り甲斐があるわ、わたし、誠二くん、好きよ」
さりげなく、京子が、誠二のことを好きだと言ったのです。好きだと言われても、誠二は恥ずかしくって、自分も好きだ、とは返せません。
「だからぁ、誠二くん、わたし、うん、なんでもないけどぉ」
鍋のうどんを食べ終えて、鍋を狭い流しに置いたあろ、ホームコタツのまえに座った京子が、向き合っている誠二の手に、手をかぶせてきます。京子は、誠二の指を握りしめます。誠二は、ドキドキ、なされるがままに、京子の顔を見上げると、京子が誠二の顔を見ているのです。
「わたし、誠二くんのこと、もっと、知りたい」
自分を見ている京子の表情が、しっとり潤んでみえます。薄く塗られた口紅が湿ったように思える誠二です。ドキドキ感を誠二は、どうすることもできないまま、京子へ、言葉を返すことができないのです。京子が手を離します。そうして、お手洗いに行くと言って、部屋から出ていきます。部屋に戻ってきた京子は、誠二に、レコードをかけてほしいといいます。この前に買ったピアノのレコードのことです。
「うん、ショパンのピアノの曲だよ、かけるよ」
サアーっというレコード針の音に交じって、ピアノの音がポータブルラジオのスピーカーから聞こえだします。誠二には、京子が、目の前に見えます。畳に足を崩して座っている京子。茶色のフレアスカートは、崩した足の膝上です。ピンク色のふわふわセーターを着ている京子。俯いて、ピアノ曲を聴きながら、うなづくように首を縦に振る仕草の京子です。誠二は、戸惑いながら、京子が膝上に置いた手に自分の手を置きます。京子は、ううなずく首を止め、つむいたまま、表情を変えないまま、誠二の手を握り返してきたのです。京子の手は、温かい感触です。柔らかい感触です。
「ああっ、ああっ」
京子が、かすかに、息が擦れるような声を洩らしたのを、誠二が感じます。ピンク色のセーターに茶色のスカートを着た京子を、誠二は初めて感じる女子として、意識します。生足の膝が、生々しく思えて、からだの芯にズキズキっと痺れが走る感覚です。京子から手を離す誠二。男のモノがむっくりとしてきて、からだの変調がわかります。これ以上、誠二と京子の間には、なにも起こらなかったこの日です。

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愛の物語-29-

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 ショパンの幻想即興曲というピアノの曲を、音楽の時間に、宝幸先生から聴かしてもらって、誠二は、その音色にとっても感銘を受けました。この話を、京子にすると、京子は、そのピアノの曲を知っているといったので、誠二は驚きました。
「わたし、ね、ピアノの音楽、好きなの、寮でレコード鑑賞会があったのよ」
もう織物会社の女子寮になっていた渚アパートからは出ている京子でしたが、ひょんなところから、誠二が話題にしたので、ありったけの知識で、京子は応じたのです。
「宝幸先生って、音楽家なんだ、高校で教えてもらってるお年寄りだけど」
「学校へ行ったら、その先生に習うのかしら」
「音楽は、選択なんだ、美術とか、ある中から選ぶんだよ」
「それで、誠二くんは、音楽を習っているわけ」
「入学式は4月8日だろ、その次の日から、おれら始まるんだ」
「学校で、会えるね、いろいろ、教えてね」
高校を卒業する年齢になって入学する京子です。中学では成績は悪くなかった京子です。でも、勉強をするのが好きではなかったから、学校の推薦で京都西陣の織物会社へ就職したのです。
「そのレコード、買いにいこうか、中立売の森山レコード店へ」
誠二の部屋にはポータプルラジオがあります。レコードプレーヤーもあります。レコードさえあれば、聴くことができます。思い立って、京子と一緒に、森山レコード店へいきます。
「そうなの、ショパンの幻想ねぇ、これだ、これ、何曲か入ってるこれだ」
レコード店の店主さんは優しそうに話されます。誠二と京子を、レコードボックスからジャケットを選んで、試聴するかと訊ねられたので、誠二は、試聴すると答えて、店内にピアノの曲が流れてきます。
「これでいいかい、LP版だ、輸入物だよ、二千円だよ」
誠二は、京子もいることだし、高いから買うのをやめる、とは言えなくて買います。春秋荘へ戻って、レコードプレイヤーをラジオにつないで、聴くことにしました。ショパンのピアノ曲、幻想即興曲、誠二は、学校の高級なスピーカーではないけれど、京子と一緒に聴くことで、なにやら、感動する気持ちが起こってきたのです。

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愛の物語-28-

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 誠二は、なにかと世話をやいてくれる京子の顔が、頭のなかでぐるぐると巡ってきます。京子は女子だから、恋の対象です。小浜の中学を卒業して、京都へ働きに出てきて、夜間の高校へ通う誠二ですが、年齢はまもなく18才になるところです。中学で好きな女子がいたけれど、卒業してしばらくしたら、その女子を思うことは退潮してしまいました。通う高校のクラスにも女子がいますが、気になる女子は現れてきませんでした。そんな日々のなかで、秋、一歳年上の京子が、現れたのでした。そういえば、京子の方が積極的に、誠二に近づいてきたといえます。水曜日の夜に、仕事を終え、食事を終えた京子が、白梅町の喫茶店ホワイトへ、学校帰りの誠二に、会いにきていたのです。誠二が寿司屋の住み込み店員を辞め、モータースへ自動車修理工の仕事見習いに転職して、日曜日が定休日になって、織子をしている京子の会社の定休日と合うようになったので、日曜日には京子が誠二のアパートへ来るようになったのです。そういう道のりのなか、誠二は自慰のときには京子の顔を思い浮かべ、京子を待ち焦がれるようになったのです。
「誠二くん、わたし、今月で、会社、辞めるの、高校に行くから、手続して」
「そうなんや、会社、辞めて、高校生になるんや、入学試験、受かると思うよ」
入学願書は誠二が書くのを手伝ってくれました。京子は、高校へ願書を持って行くときも、誠二に同伴してもらって、事務室で、受験の手続きをすませたのでした。まだ泉織物の寮になっている渚アパートの住人だから、郵便は届きます。合格の通知が送られてきて、入学手続きの書類を書いて、京子は直接、高校の事務室まで持参しました。
「うん、わたし、高校生になるんや、中学の友だちは、もう卒業やけど、わたし」
年下の誠二が三年生になるときに、京子は一年生で入学します。定時制の高校だから期間は四年です。
「いっしょに勉強できるね、京子」
京子が誠二を呼ぶときはくんをつけるけれど、男の誠二が京子を呼ぶときは呼び捨てです。
「勉強、教えてやるよ、高校一年の勉強、教えてやるから、安心しな」
「そうよねぇ、中学出て、もう三年過ぎるんやもん、教えてね」
「まあ、まかしとけって、教えてやるよ」
「わたし、いまいる部屋、寮やから、出んならんけど」
「そんなら、住むとこ、どうするん、ここは狭いから、あかんやろ」
「うん、次、決まるまで、すえひろのきみこさんの家に居候させてもらうの」
「そうなん、ええやん、京子、化粧品屋さんに勤めるんやろ、もうすぐ春やから」
誠二の部屋へ来て、一緒に住むなんてことは、思いつかないわけではなかったけれど、いずれ近いうちに同棲することを感じさせる誠二と京子です。

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